未知数と既知数

 

1.未知数と既知数とは

未知数とは、分かっていない数のことである。

既知数とは、分かっている数のことである。

 

2.簡単な電気回路の未知数と既知数

図1の電気回路の未知数は電流I[A]であり、既知数は電圧100[V]と抵抗20[Ω]である。

 

 

3.未知数と既知数の誤った認識

未知数をアルファベットやギリシャ文字「I、E、R、ω、θで示されている数だと認識している。

既知数を数字100、20、50、60」で示されている数だと認識している。

 

 

4.未知数と既知数の区別


アルファベットやローマ字でも、未知数と既知数を区別して考えなければならない場合があることを知っておこう。

図2の電気回路で電流I[A]の式を求めなさいと問われているときは、電流I[A]を未知数、電圧E[V]と抵抗R[Ω]を既知数とする認識が必要である。

図2の電気回路で電圧E[V]の式を求めなさいと問われているときは、電圧E[V]を未知数、電流I[A]と抵抗R[Ω]を既知数とする認識が必要である。

図2の電気回路で抵抗R[Ω]の式を求めなさいと問われているときは、
抵抗R[Ω]を未知数、電流I[A]と電圧E[V]を既知数とする認識が必要である。

この例は単純な電気回路なので簡単ですが、複雑な電気回路になると要求されている「未知数」を導出するために、電気回路に与えられていない「未知数」を自分で設定し、それを「既知数」で表すことにより、要求されている「未知数」を「既知数」で表記するという過程が存在します。
このような場面で「未知数」と「既知数」の区別を自分の心の内でしっかり認知しておかないと、「もやもや」とした過程になってしまうのです。

 

 

5.ちょっと複雑な電気回路の未知数と既知数

図3の電気回路の未知数の抵抗Rx[Ω]既知数の電圧E[V]・電流I[A]・抵抗R1[Ω]で表記することを考える。

この電気回路に自分で未知数の電流I1[A]とIx[A]を設定し、電気回路の諸法則を適用する。

上式を変形して、未知数Rx[Ω]を求める。

未知数の抵抗Rx[Ω]を既知数の電圧E[V]・電流I[A]・抵抗R1[Ω]で表記することができた!
問題を解くために設定した未知数はどこにも存在しません!

ちなみにこの例は、平成25年理論で出題された問題に準拠しています。
従って、実際に出題された電験3種の問題も状況を把握して解くことができることでしょう。

 

 

6.平成25年度理論問5の問題と解答

 

 

解答を表示する

解答を非表示にする

 

今はどういう状況なのかを認識する能力は、電験3種に合格するために必要不可欠なものです。
電気回路の法則や定理を適用する場合、状況を認識して適用するのと、状況を認識しないで何となく適用するのでは「解を導いた」という実感が全く違うのです。

下図は9マス将棋を例にした認識の大切さを示したものです。
状況を認識(認知)できれば、「最悪の手」を回避することができます。
私は9マス将棋をオンラインで楽しんでいますが、相手の勝率が3割程度の方は下図に示す「最悪の手」を何度も繰り返しているのです。
状況を認識しようとしていないのは明らかです。
ちなみにこの形は「先手が勝てる形」です。