火力発電所の効率計算

火力発電所は、燃料の持つ化学エネルギーをボイラで熱エネルギーに変換、タービンで回転エネルギーに変換、発電機で電気エネルギーに変換する施設である。

 

 

 

1. 火力発電所の基礎知識

  1. ランキンサイクルとは、水の状態変化を利用して蒸気のもつ熱エネルギーを回転エネルギーに効率的に変換する最も基本的な熱サイクルであり、ボイラ、タービン、復水器、給水ポンプで構成されている。発電機はランキンサイクルに含まないけれども付記しておいた。


  2. ボイラは、燃料を燃焼して発生した熱で水を蒸気にする。


  3. タービンは、蒸気の持つエネルギーを回転エネルギーに変換する。


  4. 復水器は、タービンで使用した蒸気を海水で冷却して水に戻す。


  5. 給水ポンプは、復水器で蒸気から戻された水をボイラへ供給する。


  6. 発電機は、タービンから得た回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。


  7. 発電機で発電した電気の一部は、発電所内で使用している。(発電電力量の3~5%程度を使用)
    所内率5[%]というのは、発電電力量の5[%]を発電所内で使用し、残りの95[%]の電力量を送電することを意味する。


 

2. エネルギー変換効率

エネルギーの形態を変換するときには、下図2のように必ず損失が発生する。
100の入力エネルギーから100の出力エネルギーに変換することはできない。

効率の基本式は、上図2から下式(1)と表すことができる。

百分率表示[%]をしたい場合は、上式(1)に100をかければよい。

 

3. 火力発電所の各種効率の式

  1. 送電端熱効率ηL




  2. 発電端熱効率ηP



  3. ボイラ効率ηB




  4. タービン室効率ηT




  5. タービンサイクル効率ηC



  6. タービン効率ηt




  7. 発電機効率ηg


 

4. 火力発電所の各種効率の関係

 

例題1

ボイラ効率ηB=90[%]、タービン室効率ηT=45[%]、発電機効率ηG=98[%]の火力発電所がある。
この発電所の所内率がL=5[%]であるときの発電端熱効率ηP[%]と送電端熱効率ηL[%]の値を求めよ。

〔電験3種/平成5年度/電力問22一部改定〕

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例題2

定格出力5000[kW]の火力発電所を定格出力で30日間連続運転し、発熱量44000[kJ/kg]の重油を950[t]を使用した。
1[t]=1000[kg]の関係を用いて、 この発電所の発電端熱効率ηP[%]の値を求めよ。

〔電験3種/平成2年度/電力問22一部改定〕

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例題3

火力発電所のボイラ入口と出口の比エンタルピーは、i1=1029[kJ/kg]、i2=3864[kJ/kg]である。
この火力発電所が燃料発熱量H=41160[kJ/kg]、燃料使用量B=168[t/h]、作動流体量(水と蒸気)Z=2200[t/h]で運転しているときのボイラ効率ηB[%]の値を求めよ。

〔電験3種/平成4年度/電力問11一部改定〕

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例題4

タービン出力20[MW]、発電機出力18[MW]、作動流体量80[t/h]で運転している火力発電所がある。
タービン入口の作動流体の比エンタルピーが3550[kJ/kg]、復水器入口の作動流体の比エンタルピーが2450[kJ/kg]であるとき、発電機効率ηG[%]とタービン効率ηt[%]の値を求めよ。

〔電験3種/平成13年度/電力問11一部改定〕

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