電線路の電圧降下
電線路(線路)の電圧降下とは、電源から負荷に電力を送るまでに電圧の値がどれだけ降下したのかを表したものである。
目次
1. 線路電圧降下と線路と負荷のインピーダンス
下図1の回路のように線路と負荷のインピーダンスが、抵抗のみで表される場合は、線路電圧降下と線路抵抗の電圧が等しくなる。
下図2の回路のように線路と負荷のインピーダンスが、抵抗とインダクタンスで表される場合は、線路電圧降下と線路インピーダンスの電圧が等しくならない。
2. 単相2線式の線路電圧降下式
単相2線式の線路電圧降下式は下式(2)となる。
上式(2)から、線路と負荷のインピーダンスが抵抗のみである場合の線路電圧降下式を書き出すことができる。
3. 単相3線式の線路電圧降下式
単相3線式の線路電圧降下式は下式(4)となる。
ただし、中性線に流れる電流が0[A]の場合(平衡単相負荷)の式である。
上式(4)から、線路と負荷のインピーダンスが抵抗のみである場合の線路電圧降下式を書き出すことができる。
4. 三相3線式の線路電圧降下式
三相3線式の線路電圧降下式は下式(6)(7)となる。
ただし、平衡三相負荷の場合の式である。
上式(6)から、線路と負荷のインピーダンスが抵抗のみである場合の線路電圧降下式を書き出すことができる。
5. 電気系国家試験で使用する公式
- 第2種電気工事士試験
(3)(5)(8)式
- 第1種電気工事士試験
(2)(4)(6)式
- 第3種電気主任技術者試験
(2)(4)(6)(7)式
例題1
下図のような単相2線式配電線路で、電線1線当たりの抵抗をr[Ω]、線路リアクタンスをx[Ω]、線路に流れる電流をI[A]とするとき、電圧降下(Vs-Vr)の近似値[V]を示す式はどれか。
ただし、負荷の力率:cosθ>0.8で遅れ力率であるとする。
〔第1種電工/平成22年度/問6〕
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例題2
下図のような単相2線式配電線路において、図中の各点間の抵抗が、電線1線当たりそれぞれ0.1[Ω]、0.1[Ω]、0.1[Ω]である。
A点の電源電圧が210[V]で、B点、C点、D点にそれぞれ負荷電流10[A]、5[A]、5[A]の抵抗負荷があるとき、D点の電圧[V]の値はどれか。
〔第1種電工/平成24年度/問6〕
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例題3
下図のような三相3線式配電線路で、電線1線当たりの抵抗をr[Ω]、リアクタンスをx[Ω]、線路に流れる電流をI[A]とするとき、電圧降下(Vs-Vr)の近似値[V]を示す式はどれか。
ただし、負荷の力率:cosΦ>0.8で遅れ力率であるとする。
〔第1種電工/平成25年度/問8〕
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例題4
下図のような単相3線式配電線路において、負荷A、負荷Bともに消費電力800[W]、力率0.8(遅れ)である。負荷電圧がともに100[V]であるとき、電源電圧V[V]の近似値はいくらになるか。
ただし、配電線路の電線1線当たりの抵抗は0.5[Ω]とする。
〔第1種電工/平成25年度/問6〕
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例題5
三相3線式1回線配電線路が遅れ力率cosθ=0.8、遅れ無効率sinθ=0.6の平衡三相負荷に電力を供給している。送電端電圧Vsを6600[V]、受電端電圧Vrを6450[V]とするとき、この負荷の電力P[kW]の値を求めさい。
ただし、配電線路の1線当たりの抵抗rを1.6[Ω]、誘導リアクタンスxを1.5[Ω]とする。
〔電験3種/平成3年度/送配電問24一部改定〕
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