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令和元年度電力問15の解答ポイント

  1. 下図の火力発電所(汽力発電所)の概要図を書いた後に、必要と思われる情報を書き込んでいく。
  2. 単位が複雑なので「腫れ物に触るような扱い」になりがちである。
    単位の意味を深追いせずに「単位を揃える」ということだけに注力しよう。
    そうすればおのずと正しい結果を得ることができる。
  3. 本問は平成14年度電力問11の問題の視点を変えた問題である。
    使用している数値も全く同じである。
    「電験3種の計算問題ーオフライン版」平成14年度電力問11の問題と解答を収録している。

  4. 熱消費率とは、1[kW・h]の電力量を得るのに消費した熱量のことである。
  5. 慣例的に「熱消費率」と記述されている場合は、発電端において1[kW・h]の電力量を得るのに消費した熱量のことを意味する。
  6. 発電端における熱消費率の公式は、3600[kJ/kW・h]を発電端までの熱効率ηPで除したものとなる。

    $${J_{発電端}=}\frac{3600}{η_P}\quad [kJ/kW・h]$$
    $$\begin{eqnarray}{J_{発電端}} &:&発電端の熱消費率[kJ/kW・h]\\\\{η_P} &:& 発電端熱効率\end{eqnarray}$$

  7. 「送電端の熱消費率」と記述されている場合は、送電端において1[kW・h]の電力量を得るのに消費した熱量のことを意味する。
  8. 送電端における熱消費率の公式は、3600[kJ/kW・h]を発電端までの熱効率ηLで除したものとなる。

    $${J_{送電端}=}\frac{3600}{η_L}\quad [kJ/kW・h]$$
    $$\begin{eqnarray}{J_{送電端}} &:&送電端の熱消費率[kJ/kW・h]\\\\{η_L} &:& 送電端熱効率\end{eqnarray}$$

  9.  「タービンの熱消費率」と記述されている場合は、タービン出力において1[kW・h]の電力量を得るのに消費した熱量のことを意味する。
  10. タービンにおける熱消費率の公式は、3600[kJ/kW・h]をタービン出力までの熱効率ηBηTで除したものとなる。

    $${J_{タービン}=}\frac{3600}{η_Bη_T}\quad [kJ/kW・h]$$
    $$\begin{eqnarray}{J_{タービン}} &:&タービンの熱消費率[kJ/kW・h]\\\\{η_B} &:& ボイラ効率\\\\{η_T} &:& タービン室効率\end{eqnarray}$$

  11.  比熱(比熱容量)とは、物質1[g]当たりの温度を1[℃]=1[K]上昇させるのに必要な熱量[J]のことである。
    単位は[J/g・K]であるが、[kJ/kg・K]で与えられることが多い。
  12. 物質の密度とは、物質の単位体積1[m3]当たりの質量のことである。
    単位は[kg/m3]で与えられることが多い。
  13. 汽力発電所の復水器は、タービンの排蒸気を冷却水で冷却凝結して復水を回収する装置である。
    熱サイクルの中で、最も大きいエネルギー損失は冷却水(海水)が持ち去る熱量であり、復水器内部の真空度を高く保持することで、タービンの入力蒸気と出口蒸気の圧力差を大きくし、タービンの熱効率の向上を図っている。
  14. 参考「計算問題ポイント集ー発電」