照明計算
光源(こうげん)から放射される放射束(エネルギー)のうち、人間の目が光として感じる量を表したのが光束(こうそく)である。
単位は、ルーメンlmが与えられている。
1. 照明計算の基礎知識
- 光源からの距離が十分離れている場合は、大きさのある光源を点光源と見なすことができる。
- 半径r[m]の球の表面積Sは、4πr2[m2]である。
- 上述2から、半径1[m]の球の表面積は、4π[m2]である。
- 立体角(りったいかく)とは、球の中心からの空間の広がりを表す角である。
全方位の空間の広がりを単位球の表面積4π[m2]を用いて4π[sr]と定義している。
[sr]の単位は、「ステラジアン」と読む。
- 立体角ω[sr]とラジアン角θ[rad]の関係式
- 光度(こうど)とは、点光源からある方向に放射される単位立体角[sr]当たりの光束[lm]をいう。
単位はカンデラ[cd]である。
- 点光源から放射される全光束F0[lm]の分布が均等(一様)であれば、あらゆる方向に対する光度I[cd]は同じになる。
- 上述7のようなあらゆる方向の光度I[cd]が同じでる点光源を均等点光源という。
- 一般的に光源を点光源と見なせても、光度Iは方向により変化するので均等点光源とは見なせない。
光度Iが変化する場合の計算問題は、配光曲線と光度の関数式I(θ)が与えられる。
- 照射面(しょうしゃめん)とは、光束が入射して照らされる面のことである。
- 照度(しょうど)とは、照射面のある点の単位面積[m2]当たりの光束[lm]のことであり、明るさの目安となる量である。
単位はルクス[lx]が与えられている。
- 下図のように、入射する光束F[lm]が均等(一様)である場合の照射面の平均照度E[lx]は下式(2)で表すことができる。
2. 照度の距離の逆二乗法則
下図1のような点光源による点Pの照度En[lx]は、光度I[cd]に比例し、距離r[m]の二乗に反比例する。
下図2と(4)式は、上図1の角θが零である場合の状況を示したものである。
3. (3)式の確認
下図3のように、全光束F0[lm]の均等点光源を半径r[m]中空の球の中心に配置する。
このときの球面上の照度En[lx]は、下式(5)で表すことができる。
(1)式から、全光束F0=4πI[lm]となるので(5)式に代入すると、下式(6)は(3)式と同じ結果になる。
上式(6)は、厳密には均等点光源で成立する式ではあるが、他の点光源でも近似的に成立するものとして広く用いられている。
4. 法線照度、水平面照度、鉛直面照度の公式
上図4の照度Enを法線照度、Ehを水平面照度、Evを鉛直面照度と呼んでいる。
法線照度Enは距離の逆二乗法則から、水平面照度Ehと鉛直面照度Evは入射角余弦法則から下式(7)(8)(9)で表すことができる。
5. 入射角余弦法則の概要
下図5は、入射角余弦法則の概要を示したものである。
例題1
下図の作業面におけるP点の法線照度En[lx]、水平面照度Eh[lx]、鉛直面照度Ev[lx]及び点光源の全光束F0[lm]の値を求めよ。
ただし、点光源は光度I=600[cd]の均等点光源とし、r=2.5[m]、h=1.5[m]、d=2[m]とする。
〔電験3種/平成元年度/電気応用問1改定〕
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例題2
下図の看板のP点の水平面照度Ehを200[lx]とするための点光源の光度I[cd]を求めよ。
ただし、θ=60°、r=0.8[m]とする。
〔電験3種/平成4年度/電気応用問2一部改定〕
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例題3
点光源から立体角ω=0.125[sr]中に光束F=120[lm]が均等に放射されているとき、その方向の光度I[cd]の値を求めよ。
〔電験3種/平成5年度/電気応用問4一部改定〕
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